第43回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和5年12月7日(木)10:00~12:00

場所

会場:中央合同庁舎5号館 専用21会議室(17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)

議題

  1. (1) 職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令案要綱について(諮問)
  2. (2) 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
  3. (3) 社内検定認定規程の一部を改正する件案要綱について(諮問)
  4. (4) 求職者支援訓練の特例措置の効果分析について
  5. (5) 専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて
  6. (6) 2023 年度の年度目標の中間評価について
  7. (7) 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書について(報告)

議事

議事内容
○武石分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第43回労働政策審議会人材開発分科会」を開催いたします。本日、本分科会はオンライン併用での開催といたします。本日の出席状況ですが、公益代表の守島委員、労働者代表の篠原委員、使用者代表の増田委員、宮田委員が御欠席です。石原委員が遅れて御参加のようです。また、労働者代表の小林委員は、所要により途中退席されるということです。
 それでは、議事に入ります。議題1「職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令案要綱について(諮問)」です。内容について、能力評価担当参事官より資料の御説明をお願いいたします。
○安達能力評価担当参事官 能力評価参事官の安達でございます。資料1に基づいて職業能力開発促進法施行令の改正政令案について御説明を申し上げます。指定試験機関が行う技能検定、これは131職種の技能検定がありますけども、この中で20職種あります。この指定機関の技能検定、及びキャリアコンサルタント試験に係る受検手数料については限度額を政令で定めており、具体的には、実技試験が2万9,900円、学科試験が8,900円と定めているところです。物価の上昇等によって、一部の職種において試験事務にかかる費用が増大し、検定試験業務に係る収支が赤字になっている状況などを踏まえて、今般、この技能検定試験及びキャリアコンサルタント試験についての手数料の限度額の見直しを行うというところです。
 なお、政令においては、この限度額の見直しという部分で、各試験の具体的な手数料の額は限度額の範囲内で、別途告示に定めるといったことになります。施行期日ですが、公布日が令和5年12月下旬を予定しており、施行期日が令和6年4月1日を予定しているところです。議題1の説明については以上です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明に対して御質問、御意見がございましたら、こちらで参加されている方は挙手、オンライン参加の方はZoom機能の「リアクション」から「手を挙げる」マークを押していただき、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
○小林委員 御指名をありがとうございます。小林でございます。御説明ありがとうございました。今回、1枚目の文章にもありますように、物価の上昇を主な原因として、指定検査機関が行う技能検定の手数料限度額を引き上げるということで、実技試験が5,500円のプラス、学科試験が2,500円のプラスということでありますけれども、この引き上げ額は、どのようにして算出されたのかというところが、もし分かれば教えていただきたいというのが1点です。もう1点は、物価につきまして日本国全体で引き上がって高止まりになっている状況です。今後についてもまだまだ上がっていくという懸念というのが非常にある中で、一定その後の物価の見込みも含めた額で試算されたのかどうか、そういったことも含めて御教示いただけると有り難いです。
○武石分科会長 はい、ありがとうございます。では、事務局からお願いいたします。
○安達能力評価担当参事官 この点につきましては、正に試験を行っております試験機関のほうで、検定に係る手数料等について情報収集させていただき、その実態に合わせて材料費等々の高騰に伴い、冒頭説明したとおり、収支が赤字になっているという状況を踏まえて、安定的に運営するという観点で必要な額を引き上げさせていただくというところです。この点については、今後の見通しですが、いたずらに引き上げるということになりますと、受検をする方々にとっては手数料負担が大きくなるという一方で、手数料を引き上げないと安定的な制度の運営ができないということもありますので、引き続き検定の実施にかかる費用の実態については定期的に注視させていただきながら、手数料の引き上げ等々も含めて必要があれば、また今後、御相談させていただくということはあり得るかと思っております。いずれにしろ、費用の状況は丁寧に把握させていただきながら必要な対応をさせていただきたいと考えております。以上です。
○武石分科会長 小林委員、いかがでしょうか。
○小林委員 ありがとうございます。御説明、御回答にもいただきましたように、受検者の受検理解といいますか、受検抑制、こういったことにはつながらないような運用、決定を是非お願いをしたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○冨髙委員 私も、今の小林委員と同じところが気になっておりまして、基本的には同じ意見でございます。是非、厚労省においても、運営団体が、きちんと効率的な事務運営を行うよう働き掛けをお願いしたいと思います。以上です。
○武石分科会長 はい、ありがとうございます。御意見ということで受け止めたいと思います。
○平田委員 説明ありがとうございました。冨髙委員の御意見と同じなんですけれども、やっぱり、その受検者の負担の増大ということにもつながると思いますので、試験実施機関が、無駄のないようにチェックをしていくということが前提であるべきだと思っておりますので、意見として申し上げます。
○武石分科会長 はい、ありがとうございます。御意見を頂戴いたしました。ほかに、いかがでしょうか。オンラインの方はよろしいですか。
 特にないようであれば、この案件は以上とさせていただき、議題1の「職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令案要綱について(諮問)」は、本分科会として「妥当」と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、御意見等はございますか。
                                 (異議なし)
○武石分科会長 それでは、事務局から報告文(案)の共有をしていただいております。オンラインの方は画面で御覧いただき、会場の方には紙を配布していただいております。
 共有された報告文(案)で、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。
                                 (異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、今後につながる御意見もいろいろ頂きましたけれども、それを踏まえて、今後考えていきたいと思います。この内容で報告していただくこととし、この議題については、ここまでといたします。
 次に、議題2「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について(諮問)」です。内容について、訓練企画室長より資料の御説明をお願いいたします。
○桃井訓練企画室長 それでは、議題2につきまして、資料2-1で説明させていただきます。こちらは求職者支援訓練の省令の改正となります。内容につきましては、先月決定された総合経済対策に基づき、今年度の補正予算の事業として、従来のデジタル推進人材の育成にかかる特例措置に加えて、昨年12月に策定された「DX推進スキル標準」に対応した訓練を設定した訓練の実施機関に対して、認定職業訓練実施奨励金の支給額を受講者1人につき1月当たり5,000円を上乗せする特例措置を追加する改正省令案になります。この措置により、一層のデジタル分野の訓練コースの設定を促進して、デジタル推進人材の育成を図ってまいりたいと考えております。説明については以上となります。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、先ほどと同様に挙手をしていただいて、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。特に御意見はないですか。オンラインの皆様も大丈夫でしょうか。
 それでは、特に御意見、御質問等がないようですので、この案件は以上とさせていただき、議題2の「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」は、本分科会として「妥当」と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思います。これに関して御意見等はございますか。
                                   (異議なし)
○武石分科会長 それでは、ただいまから事務局から報告文案の共有をしていただきます。
          (事務局より報告文(案)を配付すると共にZoomにおいて画面共有)
○武石分科会長 共有された報告文(案)により、労働政策審議会会長宛て報告することとしたいと思いますが、よろしいですか。
                                   (異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただくとし、この議題については、ここまでといたします。
 次に、議題3「社内検定認定規程の一部を改正する件案要綱について(諮問)」です。内容について、能力評価担当参事官より資料の御説明をお願いします。
○安達能力評価担当参事官 能力評価参事官の安達です。議題3につきまして、資料3-1等に沿って説明させていただきます。職業能力開発促進法に基づく職業能力検定としては、全国標準的な技能を公証する技能検定に加え、認定社内検定制度があります。この認定社内検定制度は社内検定認定規程等に基づいて認定を受けた事業主、業界団体の皆さんが、その雇用する労働者などを対象に行う検定について、厚生労働大臣が検定の制度等について枠組みを認定するという枠組みです。今般、この認定社内検定制度が実施されている団体の皆さんなどから、技能検定のように全国標準的な検定は設けられないけれども、この認定社内検定制度の枠組みを生かしながら即戦力の人材の確保などを図るために、外部の労働者も受検可能とする制度改正を行ってほしいという要望があったことを踏まえ、当該事業主団体参加の企業に雇用される労働者以外の方も受検可能とできる、団体等検定の区分を新たに創設させていただきたいというものです。具体的な改正内容は、この社内検定認定規程の内容を「職業能力検定認定規程」に変えさせていただくと同時に、この検定を実施する事業主等が雇用する労働者以外の方も受検対象とできるよう対象者の制限を撤廃させていただくということです。改正後の社内検定の認定規程制度と、団体等検定で規定する制度の対象については、1枚目の下のとおりです。実施主体に応じて、この団体等検定については、団体検定、事業主検定の2種類に分類させていただくということで、この点については要領で整理をさせていただきたいと思っています。
 次のページに、技能検定、認定団体等検定、認定社内検定の比較表を整理しています。先ほど申し上げたとおり、技能検定については、全国統一的、業界標準的な技能ということで一定規模以上の受検者が恒常的に見込まれるものを対象とするということに対して、新設する団体等検定については、企業横断的ではあるけれども、例えば地域特殊性の強い技能や、成長分野等をはじめとして必ずしも業界標準的な技能が確立していない職種などを対象とすることを想定しています。仮に団体検定として申請があった場合においても、技能検定として指定することが相応しいような技能については、技能検定のほうに誘導するということで進めたいと考えております。
 スケジュールですが、令和6年3月中に告示をさせていただいて、同日中に施行させていただきたいと考えています。私からの説明は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 地域における人材確保の促進を目的に設置したものと受け止めており、異論はございません。先ほど事務局からも説明がありましたが、今後、受検者数が増加して、全国的、業界標準的な普遍性を有するようになった検定等につきましては、適時、適切に技能検定に移行するようにしていただきたいと考えております。
 それから、技能を高めることの重要性を社会に広めるという意味で、技能労働者の処遇の改善にもつながりますので、この制度も含めて広く周知していただくことが重要だと思います。今回の見直しをきっかけに、更なる周知をしていただくとともに、当然のことながら随時、試験内容については適切な見直しを行っていただければと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。今後につながる前向きな御意見をありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。平田委員、どうぞ。
○平田委員 ありがとうございました。今回の整理ですけれども、働き手にとってみると、求められる能力とかスキルの見える化につながるというように認識しておりまして、労働移動の円滑化ということにもつながっていくということですので、改正の方向性ということには違和感はないと思っております。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。では、勇上委員と石原委員、順番にお願いしたいと思います。勇上委員、どうぞ。
○勇上委員 神戸大学の勇上でございます。私もこの案に関して異論はございません。単なる意見を申し上げます。資料3-1の2ページの表の一番下に、「現状」として、各検定に該当する職種の数が書いてあります。実際に、これを調べてみますと、例えば技能検定ですと、プラスティック成形とか、ハウスクリーニングとか、実際の求人に近いような職種が整理されています。これは最近、厚生労働省で整理されている、いわゆる日本版O-NETのjob tagに近い分類です。10月の前回の当分科会でも議論されましたように、職業紹介の場では、job tag等を使って、スキルやタスクなどを職業紹介の場で活かしていくこととなったと承知しております。今回新設される団体等の検定も含めて、職業訓練とか職業能力評価についても、統一した分類によって、横串で把握できるようになりますと、現場でも活用しやすいのではないかと感じましたので、そのような整理を期待したいと思います。
○武石分科会長 貴重な御意見ありがとうございました。石原委員、お願いします。
○石原委員 ありがとうございます。石原でございます。認定試験の社内検定というものがあって、それが検定を受けることのブランディング、訴求ということにつながっているというのは、非常に望ましい構図だと思いますが、やはりこの区分を見ていて、何かちょっと気になるのが、例えば、社内検定の場合は、その会社で雇用されている人のみが対象だというような話があるわけなのですが、今は企業の中に様々に雇用ではない人たちというのが含まれているわけでありまして、これは派遣されてくる派遣社員の、派遣スタッフの人であるとか、業務委託を結んでフリーランスだけれども企業のために働いている人たちもたくさん存在するわけですけれども、そういう方も、その会社の社内検定を受けて、その資格を持っているということが、次の職業であったり、次の就職先において何々会社の社内検定のこれを持っているのだったら、「これはできるよね」というように、スキルを可視化して、次の職場に行けるみたいな構図が望ましいと思っています。
 今の分け方で、新しく新設された区分の、正にA株式会社に派遣されている派遣スタッフがA社の社内検定を受けるということができるのだろうか、どうなのかということは、私は分かりかねていて。それができるとか、あるいはA社に何年も派遣スタッフとしていたのであればスキルがあるというように思われるというようなことは、多分労働者にとってのブランド力にもなるので、今回の改正のところで柔軟にできると思っています。やはり、これは社内検定だから、やっぱりあなたは受けられないんですよ、事業主検定だったら受けられるんだけどねとなるのは、ちょっともったいないのかなと思ったりしております。
○武石分科会長 ありがとうございます。では、現状はどうなっているかということで、御説明をお願いいたします。
○安達能力評価担当参事官 2点、伺ったお話にあったと思います。まずは、このjob tagとの連携ですが、従前の技能検定については、job tagとの連携はさせていただいておりますが、この団体等検定の新設に伴いまして、この部分についてもjob tag等との連携も含めて、正にそのスキルの公証といいますか、見える化、こういった部分について、今後しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
 また今、石原委員のおっしゃっていた認定社内検定における対応なのですけれども、現状としては、個々の社内検定を行っている企業さんの御判断ということですが、派遣スタッフの皆さんについて、要望があれば幅広に認めるようにということで現状でも運用はさせていただいているところです。ただし、この社内検定に関する外部の方も受けたいというニーズがあるというお話の中に、派遣スタッフとかではないけれども、例えば関連企業で当該企業と付き合いのある方も広く受けさせたいとか、いろいろな事例が実は増えてきておりまして、これはちょっと社内という枠組みで対応するのはなかなか難しいという事例があるものの、認定や新たな事業主検定の枠組みの中で対応できるものも相当数あるのかなというのも感じておりますので、その辺りの運用については整理をさせていただいた上で、より良い制度運用ができるように取り計らってまいりたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。石原委員、勇上委員、いかがでしょうか。
○石原委員 よろしいですか。ありがとうございます。今の御説明を聞いて、なるほどと思ったのですが、だとすると、認定社内検定なのか、事業主検定なのかを、例えば移行が要易になるとか、何かそのような工夫も必要なのかなと思っています。例えば、社内検定として認定してもらっているのだけれども、それを正に関連会社のスタッフの方にも受けてもらいたい。だけれども、事業主検定ではないから、やはり受けてもらえませんねと。それになるのには来年になりますということでは、やはりもったいないというように思いますので、その移行の部分がスムーズになるとか、経過措置みたいな、何ですかね、移行は1年後なんだけれども移行前に何か条件緩和みたいなものがあるとか、そのような形でタイムリーに、必要なスキルを必要とした時に、必要な方が身につけるということが促進される仕掛けがあるといいなと思いました。
○武石分科会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○安達能力評価担当参事官 おっしゃるとおりで、ゼロから認定する場合と、既存のものから移行する場合という部分について、同じような取扱いではなくて、どういうような形で移行の手続をするのかという部分については、こちらで細かい部分を整理していますので、いたずらに事務負担が増えることのないようにしたいと思っています。当然のことながら、認定はしっかりした上でということにはなりますけれども、対応させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○武石分科会長 石原委員、よろしいですか。
○石原委員 ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。それでは、スキルを客観的に認定していくという非常に重要なスキームで、それが柔軟にいろいろな形でできるというのは非常に望ましいということで、皆さんから御意見を頂戴し、また今後につながる貴重な御意見も頂きましてありがとうございます。それでは、特に御意見、御質問がないようであれば、この案件については以上とさせていただき、議題3の「社内検定認定規程の一部を改正する件案要綱について(諮問)」は、本分科会として「妥当」と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思います。御意見等はございませんか。よろしいですか。
                  (異議なし)
○武石分科会長 それでは、事務局から報告文案の共有をお願いいたします。
           (事務局より報告文(案)を配付すると共にZoomにおいて画面共有)
○武石分科会長 共有された報告文(案)より、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
                  (異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただくこととし、この議題については、ここまでといたします。
 次に議題4「求職者支援訓練の特例措置の効果分析について」です。内容について、訓練企画室長より資料の御説明をお願いします。
○桃井訓練企画室長 資料4です。最初は目次ですので、5ページです。求職者支援制度のうち、コロナ禍における各種特例措置のうち、訓練受講者に対する給付金の世帯収入要件の緩和等の措置は、今年度より一部恒久化した一方で、短期間・短時間訓練等の職業訓練基準の要件緩和については、訓練の裾野を広げる観点から、恒久化も視野に、更なる効果検証を行う必要があるため、今年度末まで継続となっております。コロナ禍の前は、3か月以上で月100時間以上が原則で、育児・介護などの事情がある方の訓練は、2か月以上で月80時間以上となっておりましたが、現在は特例措置で、これが2週間以上で月60時間以上と、大幅に緩和されております。
 eラーニングについては、対象者として在職者などが追加になっているところが特例措置となっております。
 フルオンラインについては、今年度4月から通所割合不要とする特例措置となっております。
 来年度以降の特例措置の在り方については、これから御説明させていただきます効果分析等への委員の皆様からの御意見を踏まえて検討をしてまいりたいと思います。
 6ページは、昨年度の分科会での主な御意見です。受講者数の増や受講者のニーズへの対応として一定の効果があったものの、より多角的な精査、分析が必要という御意見等を踏まえ、以下分析の説明をさせていただきます。
 7ページは、コース設定の状況です。特例措置を開始した令和3年度は、グラフのうち、赤の部分の短期間・短時間訓練の全体に占める割合が多く、コース設定増への寄与度が高かったものの、令和4年度はその割合、寄与度が減少しています。
 8ページからは、受講者の属性のグラフです。左側の「通常訓練」と、右側の「短期間・短時間訓練」との比較ですが、在職、育児・介護などの家庭の事情や健康上の事情といった訓練受講に当たり抱える諸事情の分布には顕著な差は見られません。
 9ページが、短期間・短時間の区分別、10ページが、時間別の受講者の属性です。これらを見ても大きな差は見られません。
 11ページからは訓練の効果について、就職率を見ていきます。左のグラフは就職率で、白の通常訓練と比べ、赤の短期間のみ、青の短期間かつ短時間、黄色の短時間のみと、就職率が右肩下がりに下がっている様子が見てとれます。真ん中が、期間別の就職率のグラフです。通常訓練と比較して、赤色(2か月以上3か月未満)の訓練期間ではそれほど大きな差はありませんが、点線より右側の青色(1か月以上2か月未満)と黄色(2週間以上1か月未満)の訓練では、通常訓練と比べて就職率は10%ポイント以上低下している状況が見てとれます。
 右側のグラフは、時間別に見たグラフです。赤色(80時間以上100時間未満)の訓練では、通常訓練と比べてほぼ遜色はありませんが、一番右の青色(80時間未満)の訓練では、通常訓練と比べて10%ポイント以上、就職率が低下している状況となっています。この就職率が低い80時間未満の訓練については、次のページ以降で更に分析をしています。
 12ページは、左側のグラフが、通常訓練と、60時間以上80時間未満の訓練で、通常の雇用保険適用の就職率に加えて雇用保険未適用の就職を含む就職の割合を示したグラフになっています。80時間未満の訓練では、雇用保険未適用の就職の割合が多くなっておりますが、この雇用保険未適用の就職を加えたとしても、やはり通常訓練と比べると就職率については低くなっている状況です。
 一方、この右側のグラフは、訓練の時間・期間別のグラフになっています。白の通常訓練の場合、訓練の期間が延びるに従って就職率は向上していく傾向が見られます。青の80時間未満の短時間の訓練については、3か月未満のところがピークとなって、それ以降訓練の期間が延びても就職率は上がっていかない状況が見てとれます。
 13ページは、訓練の受講状況です。今年度も受講者数は増加して推移している一方で、予算定員数が減少していることから執行率は高くなっており、今後、就職率が高い訓練コースの設定など、重点化を進めていく必要があろうかと考えております。
 14ページ目は、現場の声です。受講機会の拡大に寄与している一方で、習得度合いや、短時間・長期間のコースのモチベーションの維持の問題等の声があります。
 15ページ目は、これまでの分析をまとめたものです。下の囲みに論点を記しております。受講者のニーズを踏まえた上で、訓練効果が確実に見込まれる訓練基準にすべきではないかということが論点です。これは、訓練期間・時間を原則の3か月100時間に戻すということではなく、訓練効果が見込まれる2か月以上80時間以上を恒久化するという方向はいかがかという論点です。
 16ページからは、eラーニングの説明です。16ページは概要で、左側の対象者の赤い字の③の在職中の方等が加わっているというところが特例措置となっております。
 17ページは、コース設定状況です。eラーニングの場合、デザイン分野のコースが多くなっています。18ページは、eラーニングコースの受講者の属性です。通常訓練と比べると、育児・介護など家庭の事情がある方の比率が明らかに高くなっている様子が見てとれます。
 19ページは、地域別のグラフで、上のコース設定を見ると一部の地域に限られておりますが、下の受講者数で見ると、ほぼ全国的に受講者が存在しておりますので、居住地域に訓練実施機関がない方の受講機会の拡大に一定寄与していると考えられます。
 20ページ目は、対象者別の割合と修了率です。グラフの上の赤の点線は通所コースの修了率です。eラーニングコースの修了率は、通所コースよりも低くなっています。
 それよりも顕著な差が現れているのが21ページ目の就職率です。左側のグラフで見ると、黄色のeラーニングコースの就職率は、赤色の通常の訓練コースや青色のオンライン訓練コースと比べて、かなり低い就職率となっています。グラフ上に赤の点線で示している35%の就職率ですが、これは欠格要件のラインです。欠格要件は、3年の間に2回35%を下回った訓練実施機関は、同一分野の訓練コースについて、同一の都道府県内での認定申請ができなくなるという欠格要件になります。このように修了率・就職率に課題がありますので、22ページに、その課題と改善策を提示しております。
 23ページは、これまでの分析のまとめと論点になります。論点の1つ目は、事情を抱える方の受講機会の拡大に寄与しているということで、在職者等を追加している特例措置を恒久化していくのかどうかということが論点となります。論点の2つ目は、修了率や就職率が低いので、これを向上させるためには、どのような手段が有効かということです。この2点を論点として挙げております。
 24ページからは、オンラインコースについての資料です。24ページは、昨年度の分科会での御意見となります。
 25ページに、実績が良好な訓練機関の取組事例を紹介しています。
 26ページは、オンラインコースの設定や、受講者の状況を示したグラフです。
 27ページの論点の3つ目に、フルオンライン訓練についての論点を挙げておりますが、通所割合を不要にするフルオンライン訓練については、今年度4月から特例措置が始まったものですので、まだ訓練のコースが12コースしかありません。こちらは、今年度末までの特例措置を1年間延長して、令和6年度末までの特例措置を継続して、試行実施を継続したいということで論点としております。短期間・短時間訓練とeラーニングコースの論点も含めて、27ページの論点について御議論いただければと考えております。
 28ページ以降は参考資料ですので、説明は省略させていただきます。説明については以上となります。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 短期間・短時間訓練、eラーニングコース、フルオンライン訓練ということで、コロナ禍前は非常にかちっとした制度でやっていたわけですが、コロナ禍のところで柔軟な仕組みにして、その後コロナ禍が一定収束した後も、多様な人たちに訓練の機会をということで、令和6年3月まで柔軟な仕組みが続くわけですけれども、その後をどうするかということで、27ページの論点についての御意見を頂戴したいと思います。
 それでは、ただいまの説明に対する御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員 私からは、短期間・短時間訓練と、フルオンライン訓練について意見を述べさせていただきます。まず、短期間・短時間訓練についてです。示されたデータから、月80時間を境に、就職率が10%ポイント以上の差異が生じていること、また、累積の時間数が増加することで、就職率が向上するとも言い切れないということが分かります。したがって、事務局から御提案のあった訓練期間2か月以上で月80時間以上とする案には一定の妥当性があるように考えております。
 一方で、短期間・短時間訓練の受講者の中には、時間的な制約のために80時間未満の講座しか受講できない方も一定数いると考えられます。そうした方々は、そもそも雇用保険の適用となる就職を選択できない可能性もありますので、キャリアコンサルタントの実施や、フルオンライン訓練、あるいはeラーニングコースの案内など、適切な支援に努めていただければと思います。
 次に、フルオンライン訓練についてですが、効果・分析に資する訓練実績が少ないため、試行実施を継続することについては理解するところです。その上で、26ページの令和4年度の就職率によると、拡大した通所割合である20時間以上40%未満のところですが、これは40%以上と比べて、かなり就職率が下回っています。したがって、通所を不要とする特例措置の試行的実施を含めて検証を行っていただきたいと思います。
 最後になりますが、求職者支援制度は第二のセーフティネットとして重要な制度ですので、制度の趣旨に沿った、より良いものになるように引き続き、効果検証を行い、訓練内容の妥当性、あるいは利用促進に向けた周知の在り方を含め、他の審議会とも連携を図っていただきながら、必要に応じて拡充していただきますようお願い申し上げます。以上です。
○武石分科会長 何人かが挙手されておりますので、御意見を先に伺って、その後にまとめて事務局からお答えいただくことにいたします。オンラインで、風神委員、渡邉委員、石﨑委員の順番でお願いいたします。まず、風神委員、お願いいたします。
○風神委員 ありがとうございます、風神です。短期間・短時間訓練とeラーニングについてコメントさせていただきます。短期間・短時間については、説明にありましたように短時間で期間を伸ばしていっても効果が見込まれないということと、御提案にありました80時間以上、訓練期間2か月以上訓練時間月80時間以上のほうも、資料のほうに直接このときの就職率は出ていませんが、11ページの2か月以上、3か月未満で、時間全てのカテゴリーを含めた場合は、資料によると2,098人中1,177人が就職して、就職率は56.1%、12ページですが、2か月以上3か月未満で60時間以上80時間未満に限定すると、982人中495人が就職して、就職率は50.4%とのことです。残りの2か月以上3か月未満で、80時間以上は2,098人から982人を引いた1,116人中1,177人から495人を引いた682人が就職して、就職率は61.1%であるならば、通常訓練の就職率61.1%と変わらない。また、説明にあったように短期間では訓練期間を伸ばしても効果が望まれないということと合わせて御提案に賛同いたします。
 また、2点目として、eラーニングについてです。資料の22ページの就職率や新規訓練実施期間の上限について、都道府県別ではなく、全国区にする改定案についてコメントさせていただきます。私も、eラーニングについては、都道府県別に実施体制を分けるよりも、むしろ全国区で考えるほうが、個々の実施機関が標準的な品質で重複して行うよりも、高品質の授業をバラエティ豊かに提供できたり、あるいは双方向型のオンラインと、オンデマンド型のeラーニングでは、就職率はかなり異なるので、オンラインとeラーニングのハイブリッド型のコースも場合によっては提供したり、一括管理で効率化できるのではないかと感じました。
 また、在宅求人が居住地では少ないという意見が資料には出ています。都道府県別に基づいた実施体制の管理よりも、全国区にすると、マッチングの支援なども、より充実するのではないかと思います。以上です。
○武石分科会長 それでは、渡邉委員、お願いいたします。
○渡邉委員 資料の御説明をありがとうございました。私からは、短時間の訓練についての確認というか聞きたいと思います。就職率で見ると、確かに80時間から60時間は低いということですが、一方で、求人数はどうなのか。事業者サイドから見ると、80時間未満の求人というのは、そもそもそんなにあるのかなと。パートタイマーでも、通常100時間以上といった求人が多い。そうすると、求人とのバランスで就職率が悪くなっている可能性があるのではないか。その分析が、もしもあれば教えていただきたいのです。
 一方で、受けるほう、応募のほうで見ると、参考資料の32ページに、訓練の応募倍率があります。短時間の応募倍率が非常に高いのです。これも、80時間以上なのか、80時間未満なのかというのは区分が分かりませんけれども、ニーズはそこにある。だから、求職者のニーズがそこにあって、一方で事業者のほうの求人が少ないと、結果的に就職率が悪くなっているというようなことは考えられないのかという点の御説明をお願いいたします。以上です。
○武石分科会長 後ほど、事務局のほうから回答していただきます。それでは、石﨑委員、お願いいたします。
○石﨑委員 まず、短時間訓練については、事務局提案について既に御意見も出ていたかと思います。1つの基準として合理的なものと思いますので、御提案には賛同いたします。
 他方、教えていただきたいところがあります。例えば、今回は従来よりも時間を伸ばすことになるわけです。例えば、通所とeラーニングを組み合わせた訓練みたいなものは既に行われているものがあるのか、あるいは今後、そういう形は想定できないのかというところを御検討いただけたら有り難いと思います。短時間訓練のほうについても、育児・介護など事情を抱える方のニーズに一定程度応えていく部分もあるというお話もあります。その訓練時間は、通所とオンラインで組み合わせて、その時間を達成するみたいな形というのはあり得るのかどうかというところを御検討いただきたいというのが1点です。
 2点目は、eラーニングコースもいろいろな種々の事情を抱える方の受講機会の拡大とか、地域で、そういう機関やコースがない所の地域の方の受講機会の拡大にも寄与しているということで非常に重要ではないかと思うのです。
 他方で、就職率が低いというところに関して、現状は恐らく対象の母数も少ないという中で、どの程度測れているのかというところもちょっと気になります。また、コースの分野も割と特定の分野に偏っているみたいなお話もあります。そうすると、通常訓練等の比較をされるときに、その分野の通常訓練の就職率と比較しないと正確なデータが出ないように思いましたので、その辺りの分析も今後進めていただきたいと思います。つまり、就職率の低さというのが、eラーニングであるがゆえに生じているのか、あるいはその他の事情によって生じているのかというところを、より分析をしていただきたいということです。
 ただ他方で、好事例のケースで挙がっているように、就職支援がどの程度各訓練の中に組み込まれて行われているのかとか、オンデマンドだけではなくてリアルタイムオンラインをどこまで入れているかみたいなところも、やはりキーにはなってくると思います。もう少し今後そういう辺りを改善として進めていただけるとよろしいのかと思った次第です。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。いろいろな御質問、御意見を頂戴いたしましたので、一旦、事務局から御回答を含めてお願いいたします。
○桃井訓練企画室長 様々貴重な御意見を頂戴いたしましてありがとうございます。松浦委員から、80時間未満という短い時間でしか訓練を受講できない方がいるのではないかという御指摘を頂きました。受講者の属性を見ると、通常訓練と短期間・短時間訓練で顕著な差はありません。今は80時間未満の訓練を受けている方の中で、一定の方は80時間以上の訓練を受ける方もいれば、御指摘のように時間の制約から80時間未満の訓練しか受講できない方も一定数いると思います。御指摘を頂きましたように、そういう方については、通所の時間が不要のオンラインの訓練とか、eラーニングの訓練、又は様々な個人の事情に配慮して、訓練をあっせんする入口のところで、個人に合わせて適切に対応していく必要があるというのはおっしゃるとおりかと思いますので、そのようにしていきたいと思います。どうも、ありがとうございます。
 また、効果検証や、利用促進や周知など、こうした求職者支援制度で重要なことと思いますので、適切に進めてまいりたいと思います。
 風神委員からは、短期間・短時間訓練の就職率の御示唆を頂きましてありがとうございます。今、論点で挙げております80時間以上や、2か月以上の層に限ってみると、正に御指摘いただいたとおり通常訓練と遜色ない60%を超えている就職率ですので、委員の御指摘のとおりかと思います。全国の欠格要件についても御賛同いただきましてありがとうございます。オンラインとeラーニングのハイブリッドなど、いろいろな手法があると思いますので、今後検討していく必要があろうかと考えております。また、マッチング支援が重要というのもおっしゃるとおりかと思います。
 渡邉委員から、80時間未満の求人とのマッチングについての御指摘がありました。こちらの訓練は、80時間未満の訓練を受講されている方についても、必ずしも求人のほうは80時間未満の求人を希望しているかどうかというのは定かではありません。こちらのほうでも、求人の状況について今は手元にデータがない状況です。ただ、訓練の趣旨としては、もちろん時間的に制約のある方は除いて、できるだけ雇用保険適用になる安定した就職を目指していっていただきたいと考えているところです。よろしくお願いいたします。
 石﨑委員からも、短期間・短時間訓練の論点について御賛同いただきましてありがとうございます。通所訓練とeラーニングコースの組み合わせについての御質問、御意見を頂きました。こちらのほうは、制度的にはeラーニングコースと通所コースを合わせてハイブリッドで実施していくことも可能になっております。今は、そういう事例はあまり見られないかと思います。通所となると、地理的な要因も出てきてしまいますので、むしろeラーニングとオンラインのハイブリッドの組み合わせについては、そういう事例もありますし、効果的に実施していけるのではないかと考えています。
 あと、eラーニングの分野と、通所の訓練の分野の比較のお話を頂きました。eラーニングについては、分野としてはデザインや営業・販売・事務などが多くなっています。33ページ目の参考資料のところに、通常訓練などの分野別の就職率を挙げています。おっしゃるとおり、デザインについては通常の訓練で見ても54.3%ということで、全分野平均の60%から見ると5%強下回っております。分野についてのばらつきはもちろんありますが、eラーニングについては、こういう分野で見ても30%という通常の訓練と比べて半分程度の就職率になっておりますので、これは分野別の差というよりも、むしろeラーニングの形態の差が大きいのではないかと考えています。回答は以上となります。
○武石分科会長 御意見、御質問を頂いた皆様の中で、追加で何かありますか。
○石﨑委員 資料を十分に検討できていない点があって失礼いたしました。大変よく分かりました、ありがとうございました。
○武石分科会長 渡邉委員、どうぞ。
○渡邉委員 先ほどの32ページの応募倍率の件で、短時間の応募倍率は、応募者がそれだけ多いと、そのニーズがあるというところで、これが80時間未満なのか、100時間未満なのか、これでは分からないのです。求人者のニーズがあるというところをどう検証しているのか、就職率だけでなくて。その点も質問させていただいたつもりだったのですが、すみません。
○武石分科会長 それでは、その点についてお願いします。
○桃井訓練企画室長 渡邉委員、回答が漏れておりまして大変失礼いたしました。32ページの短時間については、60時間~100時間未満の短時間をまとめたところになっています。今は、もちろん60時間~80時間未満のコース設定も可能ですので、そのコースに対する応募のニーズも一定あると考えております。就職率という訓練の効果を見ると、他の時間数と比べて低くなっていますので、そういう低い就職率のコースに誘導するというのも、最後の出口、訓練の効果を考えたときにはどうかという論点もあろうかと考えております。
○武石分科会長 追加で、事務局から説明があります。
○松瀬人材開発政策担当参事官 補足で御説明させていただきます。政策担当参事官の松瀬です。今ほどの御質問の32ページの資料です。短期間・短時間訓練区分別の応募倍率とありますので、この32ページの表は、要は訓練に対する応募倍率という御認識でございますね。
○渡邉委員 はい。
○松瀬人材開発政策担当参事官 そのとおりでございます。すなわち、委員の関心事項は、短時間の訓練に人気がある、応募倍率が高いのではないか。一方で、その出口として、そういった訓練時間しか受けられない者に対応する出口の求人があるのかというような問題意識かと思いますが、そういうことでよろしいですか。
○渡邉委員 はい、そうです。
○松瀬人材開発政策担当参事官 これに対しては、求職者支援訓練、当然これは雇用保険適用就職率を目指して必要な支援指示を行うことで就職可能性が高まるという方については、ハローワークで支援指示を行うという立て付けになっています。
 したがって、今般の短期間・短時間の特例においては、ハローワークでは、この支援指示に当たって、訓練期間中は月80時間未満の訓練を受ける者であっても、出口の就職時については雇用保険に加入する要件、すなわち月87時間以上で就職可能ということが見込まれる者という前提で支援指示を行っているということです。
 ですから、32ページはあくまで訓練の応募倍率で、当然この時点では支援指示の段階では80時間未満の訓練を受けたいという人ですが、その出口では一応87時間以上働けますということを確認の上で、支援指示をやっているということで、この試行をやらせていただいているということです。
○渡邉委員 分かりました、ありがとうございます。理解しました。
○武石分科会長 渡邉委員、どうもありがとうございました。他に御意見、御質問はありますか。田村委員、お願いいたします。
○田村委員 eラーニングコースについて発言させていただきます。eラーニングコースは今の御議論にもありましたとおり、育児・介護や、健康上の事情を抱える方々にとって、受講しやすいだけではなく、訓練実施機関の地域偏在が現存するなかにあって、一定の役割を果たしているものと考えております。
 一方で、通所やオンライン訓練に比べてeラーニングコースの就職率は低いという説明もありました。労働者市場でニーズが高いと考えられる介護・医療・福祉分野のコースがない点も含め、労働者市場や労働者のニーズと訓練コースの設定にミスマッチが生じている可能性も否定できないのではないかと思います。eラーニングの特性上、コース設定に限界があることは承知していますが、更なる訓練コースの拡充につながるよう厚労省としても周知・啓発に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、22ページでは、修了率、就職率に関する課題と改善が示されています。カリキュラムの一部に双方向のやり取りや、対面での学習機会も選択できるようにするなど、受講促進に向けての取組もお願いできればと思います。以上です。
○武石分科会長 他にはいかがですか。平田委員、お願いいたします。
○平田委員 単純な質問と意見です。説明はあったのかもしれませんけれども、資料4の5ページに、概要ということで時間軸で書かれています。特例措置が令和6年3月までということで、この後はどうするかという議論だと思います。これは、いつ頃、その決定をすればいいのかどうか。結論を出すのがいつ頃なのかということの説明はあったのかもしれませんが、ちょっと聞き漏らしたかもしれませんので、念のためにお伺いします。
 その上で、恒久化の検討等なのでしょうけれども、特例措置によって実施している訓練が、就職率の向上等、具体的な実質に結び付いているかを科学的に十分検討していくことが重要だと思っています。特に、eラーニングコースについては、受講に当たっての自由度が高くて、訓練の裾野の拡大に寄与するということが期待されると思っている一方で、修了率とか就職率ともに低い水準なのかということに問題意識を持っています。そこで、恒久化の検討に際しては、例えばですけれども、きちんとキャリアコンサルティングを噛ませるとか、実施するとか、それを受講の要件にするとか、そういった改善も考えられるのではないかと思いますので、意見として申し上げます。
○武石分科会長 他に御意見、御質問があればお伺いします。よろしいようでしたら、事務局からお願いいたします。
○桃井訓練企画室長 御質問、御意見を頂きましてありがとうございます。田村委員から、eラーニングについて受講しやすいというのが、やはり就職率が低いということで、訓練コースなどのミスマッチがあるのではないかという御意見を頂戴いたしました。確かに、介護など就職率が高い分野について、eラーニングの特性上、難しくて設定されていないという状況があります。33ページに全体の分野別の就職率を見ても、おっしゃるとおり介護については70%を超えていて、全分野の平均より10%ポイント高くなっております。デザイン、営業・事務・販売について、全分野平均から見ても、そこまで下がっているものではありません。eラーニングはeラーニングで設定できるコースには限りがありますけれども、通所訓練と比べると、同じ分野でも就職率はかなり差がある状況ですので、就職率の改善に努めていく必要があると考えています。また、改善策のほうについても、双方向や受講促進などの改善策に御賛同いただきましてありがとうございます。
 平田委員からは、この特例措置のスケジュールについての御質問を頂きました。説明が漏れており恐縮です。こちらは、今年度末までの特例措置になっておりますので、本日の分科会での御議論を踏まえ、この年度末にかけて省令改正の諮問を分科会にさせていただきたいと考えております。訓練の効果、実績を見て、いろいろ検討していくことは正におっしゃるとおり必要かと思います。そして、eラーニングコースについての特例措置については、在職者の追加ということになっていますけれども、それだけではなく、就職率の改善を図っていかなければいけないということは当然認識しておりますので、御提案いただきましたキャリアコンサルティングなども含めて検討してまいりたいと思います。どうもありがとうございます。
○武石分科会長 御質問に関して平田委員はよろしいですか。
○平田委員 はい。
○武石分科会長 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。分野別についてもいろいろな特徴があって、先ほどの介護・医療などについて就職率が高いというのは、恐らく労働需要もここは高いので、そういう方たちの訓練が社会的にも望まれているということだと思います。御意見にあったように、いろいろな形で、こういった人材が訓練でスキルアップができると、社会的には大変望ましいのだろうと思います。柔軟な仕組みを今後も続けていって、どうやったら効果的にできるかということで検討をするということが、この分科会に求められているということだと思います。
 特に御意見はないようですので、この案件についての意見交換は以上とさせていただきます。先ほどもありましたように、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえ、省令改正等の諮問案の作成を今後進めていただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次に議題5の「専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて」です。内容について、若年者・キャリア形成支援担当参事官より資料の御説明をお願いします。
○谷口若年者・キャリア形成支援担当参事官 担当参事官の谷口でございます。私から議題5に関して、資料5に基づいて御説明いたします。資料5を御覧ください。専門実践教育訓練の指定基準の見直しとして、今回、デジタル関係講座の指定基準の見直し案について御議論をお願いしたいと考えております。
 1ページ目、今回の見直しの背景としては、デジタル人材が、質・量の両面において圧倒的に不足しているため、その育成が急務になっています。政府としましては、デジタル人材の大幅な育成確保とともに、専門実践教育訓練給付についても、デジタル関係講座を2025年度末までに300講座以上に拡大することとしております。
 このデジタル人材の育成に関連し、経済産業省では、先月の11月10日に「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」に関する検討会を開催し、講座の認定基準を、これまでのITスキル標準レベル4相当からレベル3以上の講座に拡充することを決定しております。教育訓練給付制度においては、一定の要件を満たす「第四次産業革命スキル習得講座」を講座指定の対象としていますので、今般、関連する指定基準の見直しを行いたいと考えております。
 2ページを御覧ください。こちらは教育訓練給付全体の概要です。今回の見直しの対象であるデジタル関係講座については、左側の赤囲みをしている専門実践の⑤の第5類型「一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程」及び⑥の第6類型「第四次産業革命スキル習得講座」を中心としたものになります。
 3ページを御覧ください。これまでのデジタル関係講座の見直しの経緯を整理しています。まず、平成28年に専門実践の第5類型「一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得」を目標とする課程を新設しております。このとき、中長期的なキャリア形成に資するものとして「要求された作業を独力で遂行する」ことができるITSSレベル3以上の資格取得を目標とする課程を対象としております。
 平成29年には、ITSSレベル4の資格取得を目標とする講座に限り、訓練時間の下限を、120時間以上から30時間以上にまで拡大いたしました。この趣旨は、レベル4の資格取得を目標とする講座については、受講者が既に一定の高い能力レベルの知識・技能を備えていることを前提にした訓練時間の短いプログラムが多くなってきたことによるものです。
 平成30年には、経済産業省の「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」の対象講座について、こちらはITSSレベル4相当のスキルを獲得することを担保する講座であるということで、専門実践の新類型として、第6類型として追加しております。令和元年には、特定一般教育訓練が創設された際に、一定のレベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする講座としてITSSレベル2以上の講座を対象とすることとしております。
 4ページを御覧ください。こちらが、先月の経済産業省において開催された「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」に関する検討会の資料です。ここでは、「論点1」講座のレベルの考え方として、DX人材の不足に質・量ともに対応することや、求められる人材のスキル構造が変化していることなどから、対象とするレベルについてレベル2までの基礎的で横断的な幅広い学びをベースとし、レベル3以上の専門的かつ実践的な講座を対象講座とすることが適切としております。
 5ページを御覧ください。こちらは検討会資料の続きです。「論点2」教育内容・教育方法の考え方として、認定の対象をレベル4からレベル3に拡大するに当たっても講座の職業実践性を確保する観点から、ディスカッションや課題解決の実習・演習など実践的な方法による授業の割合を50%以上とすることを要件とすることを挙げております。
 6ページを御覧ください。今般の見直しに係る主な論点です。教育訓練給付の講座指定基準の見直しについて、3つの論点を挙げています。「論点1」は、目標とするITスキル標準レベルの要件です。専門実践の指定対象とする第6類型「第四次産業革命スキル習得講座」のレベルについて、経済産業省における見直しの議論を踏まえ、レベル4相当からレベル3以上に拡充することとしてはどうかということです。
 「論点2」は、訓練時間等の要件です。新たに対象とするレベル3についても、現行のレベル4の要件と同様の要件としてはどうかということで、具体的には、「訓練時間」を30時間以上かつ2年以内、また「成果指標」については就職・在職率が80%以上としてはどうかということです。
 次の「論点3」は、資格取得を目標とする課程のあり方です。専門実践の第5類型「一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程」について、訓練時間の要件を第6類型の要件と揃えた上で、デジタル関係講座として類型を統合することを提案しています。これらの論点について、次のページ以降でそれぞれ説明いたします。
 7ページを御覧ください。「論点1」目標とするITスキル標準レベルの要件です。DX推進人材は、このページの下左側のグラフにあるとおり、民間企業へのアンケートで、2021年から2022年にかけて質・量ともに「大幅に不足している」という回答が増加しています。また、スキル構造が変化する中で、デジタル分野では従来の縦割り領域における単線的な学びによる能力の習得から、複線的な学びの中で専門的・実践的な能力を習得するものに変化しています。そして、ITSSレベル3は、レベル4と同様に専門的かつ実践的な能力のレベルと位置づけられています。既に専門実践の第5類型ではレベル3以上を対象としています。これらのことから、第四次産業革命スキル習得講座の対象レベルについては、ITSSレベル4相当からレベル3以上に拡充することとしてはどうかと考えております。
 8ページを御覧ください。「論点2」訓練時間等の要件についてです。追加を考えているレベル3の講座については、下のグラフのとおり、120時間以上の比較的長時間の講座だけではなく、30~60時間程度の比較的短時間の講座が多く運用されています。
 短時間の講座と長時間の講座の内容を確認したところ、短時間の講座については、受講に際して一定の実務経験を求めることが多く、このため訓練時間が短くて済むことが見てとれます。一方、時間の長短にかかわらず、目標としているのはレベル3の能力の獲得ということで、違いはありませんので、レベル3の訓練時間の要件についても、レベル4と同様に30時間以上とすることとしてはどうかと考えております。
 9ページを御覧ください。「論点3」資格取得を目標とする課程のあり方についてです。ITSSレベル3の資格取得を目的とする講座の訓練時間については、前のページのとおり比較的短時間のものが多い傾向があります。また、専門実践の第5類型は、直近の令和5年10月現在で3講座にとどまっています。一方で、第6類型の「第四次産業革命スキル習得講座」では、資格取得を目標とする講座も多く指定されています。
 今後、この第四次産業革命スキル習得講座の対象がレベル4からレベル3以上に拡充されると、更にこの動きが広がっていくものと想定されます。このため専門実践の第5類型については、訓練時間の要件等を第6類型の要件と揃えた上でデジタル関係講座として類型を統合してはどうかと考えております。
 10ページを御覧ください。以上を踏まえた指定基準の見直し(案)です。改正内容は、専門実践の第6類型「第四次産業革命スキル習得講座」について、対象レベルを「ITスキル標準レベル4相当」から「レベル3以上」に拡充すること、第5類型の「一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程」については、訓練時間の要件を、第6類型の要件と揃えた上で、類型を統合することが主な改正内容です。また、これに伴い、特定一般の第2類型について、所要の規定の整備を行うこととしています。この新たな指定基準の施行については、令和6年4月から募集開始、令和6年10月指定としたいと考えております。私からの説明は以上です。御意見を頂けますと幸いです。
○武石分科会長 ありがとうございます。この指定基準の見直しに関して、先ほどの議題と同じですが、本日、御意見を頂戴して、改めて次回以降のこの分科会で諮問となりますので、本日はこの論点についての御意見、御質問を頂戴したいと思います。
 それでは、ただいまの説明に対しての御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。では、オンラインで、美野川委員と風神委員から手が挙がっておりますので、順番にお願いしたいと思います。美野川委員、お願いいたします。
○美野川委員 美野川です。DX人材は世の中で足りませんので、こうした見直しは非常に賛成ですが、DX人材といってもいろいろなタイプのカテゴリーの人たちがいるわけで、その中で、例えばプログラマーといっても、何十という言語があるわけです。そういった意味では、細かい言語の中でそれぞれ専門性を持ってもらわなければいけないという中において、今回、レベル4からレベル3に拡充するというのは非常に賛成したいと思います。より専門性のある人をどんどん作っていくということをしていただければと思います。
 一方、30時間以上にするというのも、プログラム的には30時間ぐらいで、かなりできるものもありますから、それはそれでいいと思うのですが、お聞きしたいのは、30時間以上2年以内と。ITの世界は本当に日進月歩で、どんどん技術が進歩しますから、メカのように30年前の知識がそのまま使えるということは一切ないわけです。もう3年前のものは使えないというような中で、2年も掛けて研修していたら最初に勉強したものは使えないということも十分あり得る中で、あえて、なぜこのように、2年というものを作ったのか、30時間でもいいのですが数箇月でぱっと勉強して実践するというふうにしていかないと意味がないのではないかと思います。その辺の御意見があれば教えていただきたいです。よろしくお願いします。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、先ほどと同じように御意見、御質問を頂戴して、ある程度まとまったところで事務局から御回答いただくことにいたします。風神委員、お願いいたします。
○風神委員 ありがとうございます。風神です。論点1のレベルの要件についてですが、雇用保険から受講料を給付する意義と目的を考えた際に、専門実践教育訓練給付ですので、これは特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練を対象としていて、レベル3への拡大というのは目的から外れていないのではないかと考えています。これに併せて、特定一般教育訓練給付のほうを、レベル2以上からレベル2にする御提案と、それに付随した資料を頂きましたが、講座数も受講者数も非常に少なくなっています。基礎レベルは、お話によると無料で公開されているツールで各労働者が勉強する指針があるとお伺いしましたが、他方で、地域別の施策では、同じく雇用保険を財源として基礎レベルの職業訓練メニューへの補助事業なども実施されていまして、本日のテーマではありませんが、労働者のモチベーションの向上や情報提供も含めて雇用保険料の効果的な訓練費用への使い方を考える必要があるのではないかと感じております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。御説明いただきました訓練時間等の要件、ITスキル標準レベル3においては、120時間以上が要件だったものを30時間に大幅に引き下げることに関して、肯定的なお話もありましたが、比較的短時間の講座というのは、受講に際して一定のプログラミング経験等を求めるなど、経験者を前提としている講座が多いのかと思っております。今般、30時間以上に引き下げた場合に、IT未経験者等が短時間の講座を受講した際、専門実践教育訓練給付の目的である中長期的なキャリア形成に資するスキルを身に付けることができたかというのを、どのように担保するのかという点が気になります。
 また、仮にレベルを引き下げた場合に、2ページに掲載されている専門職大学院など、その他の専門実践教育訓練の指定基準と比較して遜色のない講座内容や訓練時間と言えるのかをお伺いします。場合によっては、例えば、必ずしも経産省のコース拡大と連動させずに、一定期間、例えば1年後に、検証した上で要件を見直すというのも、一つの選択肢としてあるのではないかと思います。
 ただ、類型ごとに指定講座数に偏りが見られるというのも事実ではあると思いますので、この見直しをきっかけに、前提となっている指定基準そのものを、今日的に見直すということも検討してはどうかと思います。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。では、3人の方から御意見、御質問等がありましたので、事務局からお願いいたします。
○谷口若年者・キャリア形成支援担当参事官 御意見ありがとうございます。まず、美野川委員からは、デジタルの講座に関して、比較的短時間の講座というのは分かるが、2年といった長いものはなかなかないのではないかということかと思います。御指摘のとおり、このデジタルの世界は非常に技術の進歩が早いということで、内容としても、比較的短時間で繰り返し学ぶことが求められる分野であると思います。この2年以内という設定については、専門実践教育訓練給付の雇用保険に基づく給付として、一定の歯止めを掛けるという意味で2年以内という上限を設けていますが、訓練期間を2年設けなければならないということではなく、講座開設者がどのようにカリキュラムを設定するかによると考えております。
 また、風神委員からは、今回の見直しの専門実践だけではなく、特定一般のほうについても御指摘、御意見をいただきました。御指摘のとおり、特定一般については、まだまだ講座数の指定が少ないので、こういったレベル2の講座について、引き続き指定講座を増やしていく取組を進めていきたいと考えております。また、このデジタル分野に関しては、教育訓練給付の指定講座だけではなく、委員御指摘のとおり、比較的レベルの低い講座については無料で公開されている講座もあると承知しております。そういったことも含め、全体でデジタル関係の人材が増えていくような取組を、関係省と連携して進めていきたいと考えております。
 また、冨髙委員からは、レベル3について、訓練時間を120時間以上から30時間に引き下げることに関して御意見をいただきました。講座内容のレベルについて、「第四次産業革命スキル習得講座」については、先に経済産業大臣の認定を受ける際、先ほどの説明でも申し上げたとおり、実践的な授業の割合が50%以上であることや、外部の有識者による審査も行うことで、レベル3の講座内容が担保されると承知しております。
 また、第5類型については、ITSSレベル3に該当するような資格取得を目的とする講座ですが、こちらについては、教育訓練給付の指定の要件としても、受講者が資格を取得するに当たっての資格試験の受験率や合格率といった要件を課しており、また、就職・在職率といった要件も課しておりますので、訓練の講座の質を担保していけるのではないかと考えております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。要件等について慎重な御意見もあったように思いますが、今、御質問された皆様から、追加での御質問、御意見はいかがでしょうか。美野川委員、よろしいですか。風神委員もよろしいでしょうか。
○風神委員 大丈夫です。ありがとうございます。
○武石分科会長 冨髙委員はよろしいですか。ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。それでは、特にないようであれば、この案件については、これまでといたします。事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて、諮問の作成をお願いいたします。
 次に、議題6「2023年度の年度目標の中間評価について」です。内容について、人材開発総務担当参事官より資料の御説明をお願いします。
○宇野人材開発総務担当参事官 人材開発総務担当参事官でございます。年度目標に対する中間評価につきましては、これまで2月、3月頃に実施しておりましたが、これまでの御議論を踏まえて、今年度よりこの時期に前倒しすることにいたしました。
 本日は、8月に設定した2023年度目標の目標設定について、資料6の5ページの表2より進捗状況を御説明させていただいた後、御意見を頂きたいと考えております。なお、参考資料1に、第2四半期の毎月の結果を用意しておりますので、併せて参考に御覧ください。
 まず、①地域若者サポートステーションの就職等率です。2023年度の目標が67.9%に対して、2023年9月末時点の実績は67.8%と、ほぼ目標を達成している水準です。引き続き、利用者のニーズを踏まえたきめ細かな支援により就職等の出口につなげて年度目標に達成できるように取り組んでまいりたいと思っております。
 続きまして、②わかものハローワーク等を利用して就職したフリーターのうち、正社員として就職した者の割合についてです。2023年度の目標が65%以上に対し、2023年9月までの実績は71.9%となっており、年度目標を上回っています。引き続き、求職者のニーズを踏まえたきめ細かな就職支援に取り組んでまいりたいと思います。
 続きまして③就職支援ナビゲーターによる支援(正社員就職者数)についてです。2023年度の目標が15.8万人に対して、2023年9月末時点の実績で6万9千884人と、目標に対する達成率は44.2%に留まっております。半期で目標の50%を下回ってはおりますが、例年は年度後半に就職者数が増加することから、概ね年度目標を達成するペースで推移しているところです。引き続き、大学等と連携の上、新卒者等の正社員就職に向けたきめ細かな就職支援に取り組んでまいりたいと思います。
 続きまして、④ジョブ・カード作成者数です。9月末時点で11万8,056人となり、目標に対する達成率は41.9%となっております。半期の目標の50%を下回っておりますが、例年は年度後半にジョブ・カードを作成する者が増えることから、概ね年度目標の達成が見込めるペースで推移しているところです。キャリア形成・学び直し支援センターにおきまして、労働者や企業を対象とするジョブ・カード作成・活用に係るセミナー等を開催するとともに、昨年10月末に稼動開始したオンラインでジョブ・カードを作成・管理できるWEBサイト「マイジョブ・カード」の周知広報を行い、ジョブ・カードの一層の普及促進を図ってまいりたいと思います。
 続きまして、⑤公共職業訓練(離職者訓練)の就職率です。施設内訓練については、2023年6月末に終了した訓練コースの実績は87.0%となっており、目標の82.5%を上回っております。一方、委託訓練については、2023年5月末までに終了した訓練コースの就職率の実績は72.6%となっており、年度目標の75.0%を下回っております。委託訓練については、例年、年度後半に終了するコースのほうが就職率は高い傾向にあることから年間実績は目標値を達成する見込みであると考えているところです。目標の達成に向けて、引き続き訓練終了までに就職が決まらない可能性のある受講生の訓練終了前からのハローワークへの誘導など、訓練実施機関とハローワークの連携による就職支援を徹底してまいりたいと思っております。
 続きまして、⑥求職者支援制度による就職率です。2023年5月末までに終了した訓練コースの実績ですが、雇用保険適用状況確認中の速報値ではありますけれども、基礎コースは64.5%と、年度目標の58.0%を上回っている一方、実践コースは61.5%と、年度目標の63.0%を下回っているところです。実践コースが年度目標を下回っている要因としては、短期間・短時間訓練など特例措置の影響も考えられますが、目標達成に向けて実績が好調な労働局の効果的な支援等を横展開するとともに、実績が低調な労働局に対してヒヤリングとか、要因分析等をして、それを踏まえた改善指導等を行いたいと考えているところです。
 さらに、目標の達成に向けまして、引き続き訓練終了までに就職が決まらない可能性のある受講生の訓練終了前からのハローワークへの誘導など、訓練実施機関とハローワークの連携による就職支援を徹底してまいりたいと思っております。
 最後に、⑦技能検定受検合格者数です。2023年度の9月末の技能検定受検合格者数は19万5千418人で、目標に対する達成率は57.5%と50%を上回っているところです。引き続き、技能検定制度の更なる普及促進に取り組んでまいりたいと考えております。議題6についての説明は以上です。
○武石分科会長 はい、ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら先ほどと同様に挙手をしていただき。指名された方はマイクをオンににして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。昨年度の問題提起を踏まえてこのタイミングで実績を書いていただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。いずれの目標についても達成が見込めるペースというように理解いたしました。まだ少し早いのかもしれませんけれども、来年度の目標設定に向けて、これを踏まえて目標のあり方とか、引き上げについても今後、検討していくことが必要なのではないかというふうに思っております。以上です。
○武石分科会長 はい、貴重な御意見ありがとうございます。では、オンラインの岡野委員、お願いいたします。
○岡野委員 ありがとうございます。岡野でございます。私からは2点コメントさせていただければと思います。
 まず1点目ですが、項目⑤の公共職業訓練の就職率についてです。委託訓練に関しまして、現況ではまだ達成率には至っておりませんが、昨年に比べて就職率が改善しており、本年におきまして年度目標を達成する見込みという御報告を頂きました。委託機関によっては就職率が低い委託機関もあるかと思いますので、個別に助言や指導など、就職率の向上に向けた取組も行っていく必要があるのではないかと感じたところです。
 続いて2点目ですが、項目⑦の技能検定の受検合格者数です。こちらについても本年も年度目標を達成するペースで推移していると御報告いただきました。この後の議事の7番と少し重複するかもしれませんが、この技能実習制度が新たな就労制度に移行することが見込まれていることを踏まえると、今後の目標設定について新たな検討をしていくべきではないかと思うところです。また、御発言にもあったとおり、技能検定制度の更なる普及拡充に取り組んでいくとされていますが、普及促進にどのように取組を行っていくのか伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 はい、ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。取りあえずよろしければ、今お二人からの御意見、御質問がありましたので、お願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 はい、ありがとうございます。私からは、平田委員の御指摘、岡野委員の関係もありますけれども、御指摘についてコメントさせていただきます。その後、岡野委員の公共職業訓練と技能検定に関しましては、担当の参事官、室長から説明させていただきたいと思います。平田委員、ありがとうございました。今回、目標の設定という形で今回中間評価をさせていただきまして、非常に我々としましても進捗管理という意味では意義があったのではないかと思っております。当然、来年の恐らく6月ぐらいになると思いますが、この目標の最終的な実績を見た上で次年度の目標設定に当たっては、御指摘のようなことも踏まえまして適切な目標設定に努めてまいりたいと考えているところです。では、岡野委員の質問に対しては担当から説明させていただきます。
○桃井訓練企画室長 職業訓練について御指摘いただきありがとうございます。御指摘のとおり、就職率の向上を図っていくことが重要かと考えておりますので、ハローワークにおいて訓練実施機関と連携して適切な就職支援が実施されるように労働局のほうに働きかけて指導を行ってまいりたいと思います。ありがとうございます。
○安達能力評価担当参事官 技能検定の担当でございます。まず、実習生の対応については、足元が大きく増加しているという中で、今後は、お話のあったとおり実習制度の見直しというところもありますので、そこも見据えながら対応については検討させていただきたいと思っているところです。また、日本人の方への対応ということでも御質問がありました。技能検定のPRというところと、特に近年は工業高校の皆さんが、この技能検定の取得を1つの大きな目標に、現場でも学校での授業も含めて、非常に御活用いただいているというお話を工業高校の皆様から多く聞いております。そういう現場とも、うまく連携をしながら、技能実習生の対応だけではなくて、日本人の若手の方へのこの技能検定制度の普及、工業高校以外の部分も含めてですけれども、しっかりやっていきたいと思っております。
○武石分科会長 はい、ありがとうございます。平田委員、岡野委員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。ほかに御意見等はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにないようであれば、この案件は以上とさせていただきます。
 次に、議題7「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告についての御報告です。内容について、海外人材育成担当参事官より資料の御説明をお願いいたします。
○堀海外人材育成担当参事官 海外人材育成担当参事官の堀でございます。技能実習制度及び特定技能制度の見直しについて、昨年、11月に関係閣僚会議の下に設置された有識者会議におきまして議論が行われ、先般、11月30日に法務大臣に最終報告書が提出されたところです。この分科会におきましても、本年8月に中間報告書について御報告をさせていただきましたが、本日は最終報告書について御報告をさせていただきます。資料7-1の2ページを御覧ください。
 有識者会議の構成員については、当分科会の武石分科会長はじめ連合の冨髙委員、また、経団連、日商、中央会からもそれぞれメンバーに入っていただき、御議論をしていただいたところです。
 3ページ、有識者会議の開催スケジュールについて、5月11日に中間報告書を提出、計16回の会議を開催して、今般、最終報告書が取りまとめられたところです。
 4ページ、最終報告書の概要についてです。最終報告書におきましては、制度の見直しに当たっての基本的な考え方として、三つの視点と四つの方向性が示されております。三つの視点については、今回の見直しが国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国になるよう、外国人の人権保護、外国人のキャリアアップ、そして安全安心・共生社会の実現が掲げられております。また、技能実習制度を人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とするなど、実態に即した見直しとするなど、四つの方向性が示されるとともに、留意事項として2点あります。1つが、現行制度の利用者等に無用な混乱が生じないよう、また、不当な不利益や悪影響を被る者が生じないように配慮すること。2点目として、人手不足が深刻な地方や中小零細企業において人材確保が図られるよう配慮することが挙げられております。
 5ページです。その上で、最終報告書では10項目にわたりまして、見直し内容の提言が示されております。まず、大きな方向性として、1番、現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設することとされ、基本的に3年間の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成すること。また、特定技能制度については、適正化を図った上で現行制度を存続させるとされております。
 次に、2番は、新たな制度の受入れ対象分野については、先ほど申し上げたように、特定技能1号の水準の人材に育成することを踏まえて、特定技能制度における特定産業分野に限定し、また、従事できる業務の範囲については、現行よりも幅広く、特定技能の業務区分と同一としつつ、当該業務区分の中で習得すべき「主たる技能」を定めて育成・評価を行うこととされております。
 また、3番、受入れ見込数については、今回の新たな制度では、人材確保の目的も入ることから、受入れ見込数を設定し、上限として運用すること、見込数の設定に際しては、プロセスの透明性向上の観点から、有識者等で構成する会議体を新たに設け、その意見を踏まえて政府が判断することとされております。
 次に、4番の転籍の在り方については、最も議論があったところですが、新たな制度では、やむを得ない事情による転籍の範囲を拡大・明確化し、手続を柔軟化するとともに、同一企業での就労が1年を超え、技能検定試験基礎級や、日本語能力試験A1相当の試験に合格していることなど、一定の要件を満たした者については、同一業務区分内に限り、本人の意向による転籍を認めることとされております。この点については、地方で受け入れた外国人材が、大都市圏に転出してしまうのではないかという御懸念も指摘されているところですので、後ほど、10番の所でも触れますが、一定の必要な経過措置を設けることを検討することとされております。
 次に、5番の監理・支援・保護の在り方については、まず、現行の外国人技能実習機構については、その機能や関係機関との連携を強化するとともに、特定技能外国人の相談援助業務も行わせることとされております。また、監理団体については、要件を厳格化し、外部監視の強化等により、独立性・中立性を確保する等をした上で、新たな許可を受けるべきものとされております。さらに、受入れ機関についても、新たな制度の趣旨を踏まえ、要件の見直しを行うこととされております。
 6番、特定技能制度については、特定技能1号への移行に当たり、新たな制度におきましては、技能検定等の合格に加えて、日本語能力A2相当以上の合格を求めることとされ、また、登録支援機関の要件も厳格化し、支援業務の委託先を登録支援機関に限定するなど、適正化を図ることとされております。
 7番の国・自治体の役割については、地方入管等の関係機関が連携し、不適正な受入れ・雇用を排除するとともに、自治体は、共生社会の実現等の観点から、外国人材受入れ環境整備等の取組を推進することとされております。
 また、8番は、送出国と連携して不適正な送出機関を排除するとともに、現行制度では、技能実習生が来日前に借金を抱えるケースが多く、大きな問題となっているところですので、送出機関に支払う手数料等を、外国人と受入れ機関が適切に分担する仕組みを導入することとされております。
 さらに9番として、継続的な学習による段階的な日本語能力の向上を図ることとされ、特に、先の国会で成立した日本語教育機関認定法の仕組みを活用し、日本語教育の質の向上も図っていくこととされております。
 最後に10番、その他として、新たな制度に向けてということです。まず、政府は、人権侵害行為に対しては現行制度下でも可能な対処を迅速に行うとともに、移行期間を十分に確保し、丁寧な事前広報を行うとしています。また、現行制度の利用者等に不当な不利益を生じさせず、急激な変化を緩和するため、先ほど申し上げましたが、本人意向の転籍についても、当分の間、分野によって1年を超える期間の設定を認めるなど、必要な経過措置を設けることを検討することとされております。また、新たな制度の施行後も、運用状況について不断の検証と必要な見直しを行うことなどとされております。
 以上が、最終報告書の主な内容となりますが、厚生労働省におきましては、この最終報告書も踏まえて、入管庁など関係省庁とも連携して、今後、具体的な制度設計を検討することとしております。今後も節目節目で当分科会にも御報告をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。技能実習制度は、これまで外国人を育成して、国際貢献をするという育成が目的でしたが、今後、新たな制度として育成プラス人材確保という、新たに枠組みを変えてスタートすることになるのではないかという有識者の報告になっています。
 そのときに外国人の人権とか、共生社会というものをきちんと実現するような内容にということで、有識者会議の報告であったと私は理解しております。ただいまの御説明に対して、御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様に挙手をしていただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いします。いかがですか。松浦委員、お願いします。
○松浦委員 最終報告書について、意見を申し上げたいと思います。今回、監理団体等の要件厳格化など、外国人労働者の権利保護の強化に資する内容が盛り込まれました。一方で、新たな制度の受入れ対象分野や、新しい機構の体制をどれだけ強化できるか等、実効性を高める上での不安要素も残っています。制度を見直したとしても、適切な運用が確保されなければ効果は上がらないと考えますので、機構の体制整備や、相談・監督指導の強化、労働関係法令の遵守等をはじめとして、入管庁と連携し、特定技能制度の適正化に向けて、一層の取組をお願いしたいと存じます。
 また、転籍要件の経過措置や、新たな制度への移行期間についても報告書で言及されておりますが、見直しが形骸化されないよう、できる限り速やかに各種施策を進めていただくことも重要と考えておりますので、併せてお願い申し上げます。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。滝澤委員、お願いします。
○滝澤委員 中小企業団体中央会の滝澤です。今回、最終報告書の御報告ということで、制度設計はこれからというお話でしたが、今般、外国人技能実習制度が大きく変わるということに際して、一言、お願い申し上げたいと思います。
 今、御説明がありましたとおり、現在の技能実習制度を発展的に解消し、新たな制度を設けると。この新たな制度については、現在の特定技能制度における特定産業分野に限定するということが報告にまとめられています。
 現在、全国の中小企業において、それも様々な産業分野において、外国人技能実習生を受け入れ、それぞれの職場で貴重な人材として御活躍いただいていると認識しております。今後、新たな制度が、特定技能に限定されることになりますと、現行の特定技能は、今は14分野だと認識しておりますが、特定技能の対象になっていない産業分野でも、今は数多くの技能実習生を受け入れているという現状があります。今般の制度改正に際しては、移行期間を十分に確保するということもうたわれておりますが、今後、具体的な制度設計がなされる中で、是非、全国の中小企業、あるいは様々な産業分野への配慮もしていただければ有り難いと、お願い申し上げます。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。平田委員、どうぞ。
○平田委員 冒頭、堀参事官から、有識者会議の構成について御紹介がありまして、当会からも議論に参加しているというところですが、この場でも念のため、私どもの考え方を述べておきたいと思います。
 技能実習制度に変わる新たな制度については、外国人の人権尊重が十分に担保されることが不可欠であると考えております。外国人技能実習機構や、労働基準監督署の相談支援体制の充実のほかに、外部の中立的な苦情処理、メカニズムへの委託を要件化することなどによって、実習生が救済申立てを行いやすくすることが重要だというふうにも考えております。
 また、日本企業の産業プロセス力の強化・維持に資する制度であることも不可欠だと考えております。外国人材が成長を実感しながら、キャリアアップを図れる制度となるように、単なる名前の書き換えだけではなく、抜本的な改革となる制度整備を期待したいと思っております。最後に、これも堀参事官から御説明がありましたが、今後の動向についても、この分科会でも御報告いただければと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいですか。非常に重要な、この分科会とも関連する制度なので。事務局からコメントがあればお願いします。
○堀海外人材育成担当参事官 まず、松浦委員から適切な運用や、機構の体制整備といった御意見を頂きました。今回の有識者会議の報告書におきましても、不適正な受入れがなされないようにというご指摘もありますので、しっかりと新しい機構の体制の整備等も行ってまいります。また、有識者会議の報告書を受けて、速やかに検討ということも御指摘いただきましたので、しっかり検討していきたいと思っております。
 また、滝澤委員からは、特定産業分野に入っていない業種もあるので、移行期間も含めて配慮をということでした。今回、特定技能1号への人材を育成するという観点で、新たな制度をつくっていくということですので、基本的には特定産業分野が設定されている業種について、新たな制度の受入れ対象の分野にしていくということです。
 一方で、特定技能の特定産業分野については、今後、新たに特定産業分野を設定することも可能です。それについては、各業所管省庁、あるいは業界団体とも相談していただき、これは入管庁が基本的に制度所管になりますので、入管庁とも調整していただいて、特定産業分野に入っていただくことも検討していただくことになると思います。そのための移行期間を長く取っていただきたいという御指摘もありましたので、それについても、制度設計の段階で検討していきたいと思っております。
 また、平田委員から、適切な運用ということと、日本全体の産業競争力に資する制度にという御指摘もありました。今回の見直しは、人手不足の分野における人材の受入れということを正面から認めるということで、人材確保と人材育成を目的として新たな制度を作るということですので、御指摘も踏まえて、制度設計をしてまいりたいと思っております。
 また、先ほど冒頭で申しましたが、節目節目で、この分科会にも御報告をさせていただきたいと思っておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、この案件は以上とさせていただきます。次に、「その他」として事務局から御報告があります。参考資料について、人材開発総務担当参事官から御説明をお願いいたします。
○宇野人材開発総務担当参事官 11月2日に、政府において、デフレ完全脱却のための総合経済対策が閣議決定されるとともに、この経済対策を踏まえた令和5年度第1次補正予算案が11月10日に閣議決定され、11月29日に成立いたしました。このうち、人材開発施策に係る主な記載事項や施策について御説明いたします。
 参考資料2を御覧ください。1ページ、所得控除への取組として、非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練試行事業の実施が盛り込まれております。これは、前回の当分科会で御説明した令和6年度当初予算で要求している「非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練試行事業」を前倒しで実施するものです。参考資料3の4ページにあるとおり、令和5年度補正予算では、7,400万円を計上しております。
 続きまして、参考資料2の2、3ページを御覧ください。三位一体の労働市場改革に関する事項として、先ほど述べた事業のほかに、公的職業訓練によるデジタル推進人材の育成、Off-JTでは不足する実務経験を提供するデジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業が盛り込まれております。このうち、公的職業訓練デジタル推進人材の育成については、デジタル分野の訓練コースについて、公的職業訓練を実施する民間教育訓練機関に対する委託費等の上乗せを拡充するものです。参考資料3の2ページにあるとおり、令和5年度補正予算で制度要求としております。また、デジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業については、令和6年度当初予算で要求しているものを前倒しで実施するものです。参考資料3の3ページにあるとおり、令和5年度補正予算では、1,800万円を計上しております。
 参考資料3には、厚生労働省の補正予算の全体像と、今御説明した事業の概要資料を抜粋して添付しておりますので、併せて御参照いただけると幸いです。以上で、人材開発施策に関する経済対策の説明といたします。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対して、御質問、御意見がありましたら、これまでと同様に挙手をしていただいて、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。渡邉委員、お願いいたします。
○渡邉委員 資料の御説明をありがとうございました。参考資料2の1.の(3)ですが、この分科会とは少しテーマが変わるかもしれませんが、年収の壁への対応という所では、今3年間のいろいろな施策が出ているわけですが、将来的に、恒久的にどうなっていくのかという、根源的な対応策は、企業もいろいろ考えているのですが、やはり働く社員のほうは、100万円を超えて、時間を制限してしまおうと。例えば、時間給をアップしても、その分の労働時間は減らしてしまうと。いろいろと説明したり、将来的にこうなるのだから、しっかりと社会保険に加入して働いたほうがいいのだよと。あとは、厚生年金の対応にもなって将来的に老後の生活とか、そういう啓蒙活動はしているのですが、実態としては、どうしても自分で制限してしまうという方が多いというのがまだまだあるわけです。これは単なる答えを求めるのではなくて、年収の壁の仕組みとして、本当に恒久的にどう改善していくかということを、是非、しっかりと議論していただいて、方針を早めに出していただければと期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございます。御要望ということで承りました。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、ほかにないようであれば、この案件については、これまでといたします。全体を通して、委員の皆様から何かありますか。よろしいですか。特にないようであれば、今日は非常に議事が多かったのですが、皆様の御協力により、非常に効果的、効率的に議事の運営ができましたことにお礼を申し上げます。本日の議論は以上となります。次回の開催日程については、決まり次第、事務局から御連絡をさせていただきます。それでは、以上もちまして、「第43回労働政策審議会人材開発分科会」を終了いたします。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。